この記事では、洋書『The Outsider (異邦人)』の難易度やあらすじについて紹介します。
『The Outsider』は、1957年にノーベル賞を受賞したフランスの作家アルベール・カミュの小説です。
『The Outsider』は、社会や人間の不条理を追求した作品です。
ご興味ある方はぜひ最後までチェックしてみてください!
『The Outsider』のあらすじ
ページ数:129ページ
『The Outsider』の難易度
『The Outsider』は、TOEIC 650点くらい、英検2級(高校卒業レベル)の英語力があれば読むことができる洋書です。
所々難しい単語は出てくるものの、主人公が見ている情景が淡々と分かりやすい英文で描かれている部分が多いため読みやすい一冊です。
129ページと短い小説のため洋書初心者の人にも適した作品です。
『The Outsider』は、物事や人生の根本を考えるきっかけになる描写が多いので、哲学的に物事を考えることが好きな人には特におすすめです。
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『The Outsider』が伝えたいこと
不条理とは「道理に合わないこと」「常識に反していること」を指します。
不条理文学の一つである『The Outsider』は、変わった主人公が意味不明な行動をしているだけともとれてしまう物語です。
“Outsider” は “部外者” や “集団の外の人” という意味です。
「不条理」そのものがテーマになっている作品のため「答え」はありませんが、読み終えたときにもやもやする気持ちを抱えている方に向けて、理解の手助けとなるように『The Outsider』の私なりの解釈を解説します。
主人公のムルソーは自分の母親の葬儀で特に悲しむこともなく、葬儀の翌日には海水浴や映画に行くなど喪に服すことなく遊びまわります。
この行動からムルソーは周囲から自分の行動がどう見られるかという一般的な感覚・視点を持っていない人間であることが分かります。
『The Outsider』では、主人公が見ている情景が詳細に淡々と説明されています。これはムルソーは見えているものをそのまま受け止める人物であることの描写です。
独房の中での様子も、すべてが他人事のように客観的に事実だけが描かれています。
ムルソーはうそをつかない人物で自分の行動に後悔をいっさい示しません。この態度は裁判官や弁護士には理解されず、 ムルソーの裁判にもかかわらず、ムルソーは話の外に出されて裁判官や弁護士だけで裁判が進んでいきます。
裁判ではアラブ人の殺害よりも母親の死の翌日の行動や人格を非難されムルソーは死刑を宣告されます。
裁判官や弁護士は自分たちの理解できない事実は放置し、自分たちが納得する解釈を作り出すことを描写しています。裁判での疎外感からムルソーは裁判に意味を感じなくなります。
死刑判決を受けた後、牧師が心のケアにムルソーの元をたびたび訪れますが、ムルソーは「神」を信じていないため救済を拒否し続けます。
ムルソーは「神」のような人間が作り出した存在を信じることに時間を使うよりも、ギロチンをどのように避けるか考えるのに時間を使いたいと考えます。
牧師の説得に怒りが爆発したムルソーの言葉からは、盲目なのはムルソーと牧師 (裁判官や弁護士を含む私たち) のどちらなのかという訴えが読み取れます。
不条理な振る舞いに合理性を押し付けられることの不憫さに思いを巡らし続けますが、あるとき「世界の優しい無関心 (tender indifference of the world) 」に心を開いたムルソーは、これまで自分が幸せであり、今も幸せであることに気がつき死を受け入れるようになります。
「世界の優しい無関心」には、自分が悩んだり苦しんだりでしていることは世界や他人にとってはどうでもいいこと、自分の運命には無関心に世界は動いていることが暗示されています。
まとめ
『The Outsider』は、「不条理さ」を追求した作品のため理解が難しい部分はありますが、合理的に考えることの方が不条理ではないのか?などと考えたり、自分が抱える「悩み」は他人にとってはどうでもいいことと考えるだけで心が軽くなったり、色々と考えるきっかけになる一冊です。
哲学的に考えることが好きな人に適した作品です!
洋書を読むのはちょっと…という方は翻訳本の『異邦人』でもアルベール・カミュの世界観に触れることができます。
興味を持たれた方はぜひチェックしてみてください!
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